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【アッパーアームシール交換】(2018.01.24更新)

 さて次に、例年この時期に1年点検を実施しているので、今年も実施しています。下回りは時間の関係でまだ見れてないのですが、今のところ、以下の3点の不具合を発見・修理しました。

1 助手席側アッパアームシール交換
 以前MLのメンバーに教えてもらった方法でトライし、完璧な仕上がりになりました。ポイントは次の2点です。
(1) アッパアームをクロスメンバから外して作業すること(ロアアームを下からジャッキで支えておけば、ボールジョイントは外さなくてOKです)
(2) アッパアームピンの真ん中の細い部分で、瞬間接着剤を使って半割りにしておいたシールを元通りに接着し、接着剤が固まったら、シールを本来の位置へずらすこと 瞬間接着剤はアロンアルファの合成ゴム用を使いました。液状にしたのですが、ゼリー状は固まるまで少し時間がかかるようでしたので、液状で正解でした。


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【FサスアームO/H】

・フロントアーム組み付け(難易度:★★★☆☆)。
1) 新しくなったフロントアーム
 以前組み立てたアッパ、ロアアームを車体に組み付けた。
 ロアアームの位置をジャッキを使って合わせるのが時間が掛かった。
 ばらしながらボールエンドのガタをみた。ゆるいのはあるがガタはない。
 以前交換したクロスロッドにもガタはなかった。
 午後5時を過ぎて暗くなったころ、最後に本締めをしていたら、ジャッキを掛ける場所が悪く外れ、ボディを凹ましてしまう。ボディが凹んで凹みました。そんな駄ジャレも一番笑えないのは自分でした。

 交換後のインプレ。
 路面からの衝撃が軟らかくなり、乗り心地が良くなりました。感じでいうと、ゴンゴンから、ドンドンでしょうか。交換前のアームは、助手席側アッパはスカスカ、運転席側ロアはゴム部に亀裂という感じで劣化が明らかでしたので、おそらくその各部で衝撃が吸収されるようになり、運転者に伝わる衝撃が減ったのでしょう。
 路面のうねりに対するタイヤの追従性が良くなったように感じます。
 シムの数さえ間違えなければ意外にアライメントは崩れないで、ハンドリングにはそれほど違和感はありません。でも近くアライメントを取り直す予定です。
 またステアリング周りのグリスアップとE/gオイルの交換、デフオイルの交換を予定しています。


・ロアアーム組立。
1) できました。足回りのゴム部品は、金属部の耐用年数からすると厳しい状況にあると言えます。シリコングリースなどで普段から大事にしてやることが肝心かも。
あとアッパーアーム、グリース入りすぎ。
 JOYにて作業。
 手順は
 1. ロアアームに後ブッシュを圧入。
 2. フルクラムピンにディスタンスワッシャを組み付け、ロアアームにセットする。
 3. ロアアームに前ブッシュを圧入する。
です。

 今回おきた問題は、二つ。
 一つは、今回アーム、ピンともに粉体塗装したが、それを誤って、ブッシュを挿入する部分にも依頼してしまったため、ブッシュ、ワッシャの入りが悪くなってしまったこと。
 二つ目、手順3で、前ブッシュを挿入するとき、プレスの枠が邪魔になって、上手くセットできなかった。

 解決法は、1についてはオイルを塗ってねじ込んだ。これはあまり良くないが、塗装を剥がすのは面倒なのです。
 2は、10cmぐらい土台をかさ上げしてやればセットできたので、近くにあった木片を下に敷いて圧入作業。ただ土台に木なので一度圧入すると凹みができて使えなくなることに注意。
 凹みができるだけなので(材質によって違いはある)、向きを変えれば何回かは使える。


 これでアーム組立ては終わり。
 実際作業してみてだが、これをすべて依頼して100kはハッキリ言って安い。今でも依頼受けてくれるのかな〜、山中自○車、一回しか行ったことないけど。


・アッパアーム組立。
1) SST。木製の台とバイス(灰色の部分)、プーラー(右の黒い物体)を組み合わせてます。台もバイスもすぐ壊れる(割れる)ので、数度使用してはまた使い方を工夫してと、この部分の作業は標準化できませんでした。楽な方法があればどなたか教えてください。
2) 黒光りするアッパーアーム。
 アッパアームはフルクラムピンとネジブッシュの磨耗があるので、修正、作製する予定だったが、今回は程度のよいものを選んで再利用することにした。
 アッパアームの組立はまず、アームを172mm強に拡大し、その上でフルクラムピンをセットしネジブッシュをねじ込むとある。その拡大分がネジブッシュをフルクラムピンに押し付ける力(プレロード、予負荷)となるので、これは規定値どおりにしないとガタとなって表れる可能性がある。

 ところで整備書では、アームのどこが172mmになればいいか今ひとつはっきりしない。いすゞに聞くもやはりはっきりとはわからないようだった。
 しかし多くの人がブッシュ穴の出っ張りの内側だろうということなので、そこを基準に考えると、その部分は160mmほど。12mm拡大すればよい。
 本来はSSTとしてエキスパンダなるもの(爪付きネジジャッキ)で、アームを拡大するのだが、当然そんなものはない。
 それで自分でSSTを作ったのだが、やはり既製品の流用では限界があるようで(単に加工が拙いだけか)組み合わせた部品が結構壊れる。木製の台は割れ、爪代わりのバイスも割れた。
 しかし、とりあえず所定のサイズに拡大できるようになって気づいたのは、ブッシュ穴が反りすぎている(平行に広がらない)ということ。おそらく爪の部分がブッシュ穴の外周の奥までなければ、二つあるブッシュ穴が平行になるように拡大できないのだろう。とりあえず自分にそんな加工技術はないし、爪部分の剛性は相当必要とおもわれるので自作は不可能と判断。それに実験にしようしたアームは拡大したまま戻らなくなった(165mmぐらい)ので、もし12mm拡大できるとして、それはかなり迅速に作業しなければアームは変形してしまうだろう。
 なのでねじ込める程度に拡大して(165mm程度)組立て。これでも自分の腕力程度ではびくともしないので、いきなりガタがでて困るというようなことはないだろう。


・ロアアーム分解。
1) アーム部品。
2) ピンの細いほうからブッシュは抜きます。
3) 本当はブッシュとピンの間にはディスタンスワッシャ(だったかな)が入っています。それがブッシュの縁を均一に押します。
4) ブッシュが抜けたらピンが抜けます。
5) もう片方は適当に抜いてください。

6) 以下イレギュラーな場合。ブッシュは外側に金属製の縁がついてます。
7) 内→外から抜けない場合、このように縁を落として外→内へ抜きます。
8) ブッシュの外縁を落とすときはアーム本体の面を大切に削りましょう。
9) 外→内に抜く場合、ピンが邪魔になる場合もあるかと思います。その場合は、ブッシュの内側を落とせば多少クリアランスができます。それでも駄目ならピンのほうを何とかするよりないでしょう。
10) こんな感じの金属の土台を作成します。凹み部はロアアームのへりを避けるため、縦の空白部はフルクラムピンを避けて内側からアームを支える時に必要です。
11) これは完成後ですが、この部分をピンのある状態で支える必要があるわけです。完成後に写真で見える金色の部分を仮締めします。本締めは取り付け状態で行います。
 今回もレンタルガレージJOYにて作業。朝10時スタート、夕方4時終了。

 まず本来の手順としては、左右のナットなどを外した後、プレスにて片方のブッシュを抜き、フルクラムピンを抜いた後、もう片方のブッシュを抜く。この時、ブッシュの縁にうまく力が懸かるようにSST(アームの土台、フルクラムピンのサポート)を使用する。
 ブッシュは内側からしか抜けない造りになっているので、ブッシュは基本的にフルクラムピンを介して押すことになる。

 実際にはSSTなどないので、ロアアームのそりを避ける形の土台を作るところからスタートする。アームをプレスにかけるには必要な作業。金属筒をグラインダーで削る。
 アームの状態がよければ上で作成した台にロアアームを乗せ、ブッシュを両方抜けばよい。整備書ではフルクラムピンにディスタンスチューブなるもの(SST)を被せることになっているが、無くてもいけないことは無い(ピンが曲がる可能性は高い)。片方は自分もあっさりと外れた。
 しかしもう一方は、はじめのフルクラムピンを押した際にブッシュの縁が潰れた(潰れていた?)のと、スペーサーとしてのワッシャが変形したためうまくブッシュが抜けず、試行錯誤ののち(ブッシュ内側の金属部分を押し出し、フルクラムピンを半分抜いたのち)、最終的にはブッシュの外縁を落とし、内側に抜いた。
 結局のところ、なぜ縁を落として、外→内に抜いたほうが良いかというと、内→外だとどうしても間に長いスペーサー(フルクラムピンOrディスタンスチューブOr鉄パイプ)を介さざるを得ず、それがブッシュを真っ直ぐ押さない(垂直が出にくく、力が逃げる)からだと思われる。

 なのでこれからもし作業される方でSSTがない場合は、
@まずアームを支える土台を作る。金属筒にロアアームのそりが当たる部分を削る。
Aまずはピンでそのまま押してみる。このときフルクラムピン(以下ピン)の垂直度は入念にチェック。
Bブッシュが抜ければピンは抜けるので、もう片方のブッシュは適当にブッシュの径を押せる金属柱を組み合わせ、プレスにて押し出す。
CAでブッシュの縁などが崩壊したらご愁傷様。Bでピンが曲がった場合も同様です。
 ブッシュの縁が崩壊した場合は、まずスペーサーワッシャとブッシュの内側金属片をピンにて押し出します(というよりピンを外側に逃がす、逃げなければ、やや外し気味にして、プレスの土台がピンを逃げるように加工する)。次に反対側のブッシュの外縁を落とし、内側にブッシュを抜き、抜けたら反対も同様にすれば、ブッシュはすべて取り除けます。
 Bはピンを修正し、ピン以外の金属柱で試してみればよいでしょう。

 いつもお世話になっているレンタルガレージのJOYだが、今回は難易度が高かったようで相当度、手伝っていただいた(ブッシュの縁落しなど)。
 一日お世話になって@10k。あの作業にこの値段は申し訳ないぐらい安い。JOYの社長も、商売で、知ってたら絶対請け負わない作業とのことで、自分も作業中、何度も諦めかけた(ブッシュが変形したとき、ピンが曲がったとき)。以前その筋のショップに聞いたとき@100kと言っていたのも、実際その作業をやってみれば、安い気すらしました。とにかく付き合ってくれた社長には感謝。

 この作業はプレス、グラインダ、万力、金属筒各種(土台のもと、ブッシュを押すちょうど良い直径の金属片、ソケットのコマなどでも可)が必要で、金属加工では器用さも必要なので、かなり敷居は高いかもしれません。